新居のお祝いにオモトを送るという風習があるそうです。我が家では、自分でオモトを調達して玄関先に飾ることにしました。
江戸時代から親しまれる園芸品種
キジカクシ科オモト属に位置づけられる唯一の種でオモト(Rohdea japonica)という植物があります。種小名の通り、日本や南西中国の林中に自生する宿根草です。漢字では万年青と書きます。
江戸時代から園芸品種として親しまれてきました。天保3年に書かれた小不老草名寄という図録には、数々の品種が艶やかな鉢とともに描かれ、当時のオモトの流行度合いを垣間見ることができます。

私がオモトを知ったのは、2019年10月27日に放送されたNHKの「趣味の園芸」がきっかけです。「大江戸花競べ」という江戸の園芸文化を紹介するコーナーでオモトが紹介されていました。そこでは、オモトが江戸時代から愛されていること、葉の形や斑の模様などを愉しめることなどが紹介されていました。一見、どこにでもありそうな観葉植物ですが、そう言われてみると、葉の形や斑の模様が美しく見えてくるのは不思議です。
徳川家康が江戸城入城の際に家臣からオモトを贈られたという逸話から、引越し祝いにオモトを送るという風習があるそうです。ならば、新居を買って引っ越した我々にもオモトが必要だろう。という考えから、自らオモトを調達することになりました。
購入した品種は「宗石」
近所の園芸店で探してみても見つからなかったので、やはりいつもの美貴フラワーセンターへ。ようやくオモトを見つけましたが、品種は宗石というもの1種のみ。斑や葉の形状をあれこれ選びたかったのですが、1品種では選びようがありません。仕方なく、葉に最も元気がある苗を購入しました。
オモトを買ったら、それを植える鉢にもこだわりたいですね。専用の鉢もあるようですが、家の雰囲気に合いそうで値段も手頃なものを、同じく美貴フラワーセンターで購入。そんなこんなで出来上がった我が家のオモトが下の写真です。いかがでしょうか。

『盆栽・伝統園芸植物の鑑賞知識』という本によると、オモトを鑑賞するポイントは次の3つ3。
- 豊かな濃い緑色の葉
- バランスの良い草姿
- 葉の色や形と鉢の相性
葉の緑が濃いと模様が引き立ち、葉がシンメトリーで高さが揃っているとバランスが良いそうです。オモトを引き立たせるための鉢や化粧砂の色合いも大事。こうした観点でみると、我が家のオモトの点数は低そうですが、時間をかけて少しずつ仕立てていこうと思います。
参考
- クリストファー・ブリッケル(2003)A-Z園芸植物百科事典, クリ誠文堂新光社.
- 水野逸斎, 関根雲停(1832)小不老草名寄, 国立国会図書館デジタルコレクション.
- 盆栽伝統園芸植物の鑑賞知識製作委員会(2017)盆栽・伝統園芸植物の鑑賞知識, 誠文堂新光社.
このブログmyrsinifolia.spaceの管理人。愛知県長久手市に暮らす4人家族の父です。自然が好きなので、ガーデニングや自然遊びの話をよく投稿します。他にも、長久手市のことや趣味のカメラ、クルマのネタなども取り上げます。